「インビクタス
     /負けざる者たち」



恥ずかしながら不勉強なもので、
南アフリカの大統領が、自分の国の弱小アメフトチームを励まし
優勝まで導くスポ根ものだと思っていました……。
もちろんそんな簡単な物語ではなく、
複雑な事情が絡んだ実話を基にした映画でした。

反体制活動家として27年間投獄されていたネルソン・マンデラは
1994年、南アフリカ共和国初の黒人大統領となった。
国の主要なポストを未だ少数の白人が占めている現状で
治安、雇用、不景気、様々な問題を抱えた大統領が特に注目したのが
自国のラグビーチームだった。
ラグビーは白人富裕層のためのスポーツで、
当時黒人には全く人気がなかった。
しかも成績も最悪で、チーム名やユニフォームカラー
(アパルトヘイトを象徴する)、
すべて一新しようという働きかけが黒人側から起こるのだが、
大統領はそれを制止する。
ラグビーは白人たちの心の拠り所で、それを奪ってはならない。
彼等が示さなかった寛容と許しを、我々は見せよう、と。

ふざけた感想注意

大統領のモーガン・フリーマンがともかくモテモテモテ!で
登場人物全員から矢印が出ていると言っても過言ではない。
彼の身の回りの女性男性ほぼ全員が大統領大スッキ。
黒人のひとたちは「私達の大統領に、
白人なんかと握手してほしくない!」だし、
ちょっと複雑な気持ちだったラグビーチームのキャプテンも
一度お茶に招かれたら「あんな人は初めてだ…」ともうメロメロ。
彼の投獄されていた刑務所まで見学に行ってしまう慕いようです。
大統領たるものあれくらいのカリスマでないと
なってはいけないものなのかもしれません。
実際27年投獄されてなお
施政者になれる能力を保っていられたというのは
超人だと思う。精神的に。27年……。
囚人時代の大統領と看守のお話も映画化されているらしいので
そちらもいつか見てみたいです。

内容には関係ないが大統領日本訪問の際の背景が気になった。
(斜めに建った鳥居と居住用らしい和風建築……?)


作中に出てくる詩
19世紀 英国の詩人
ウィリアム・アーネスト・ヘンリー
「インビクタス−負けざる者たち−」

私を覆う漆黒の夜         
鉄格子にひそむ奈落の闇      
どんな神であれ感謝する      
我が負けざる魂に         

無残な状況においてさえ      
私はひるみも叫びもしなかった   
運命にうちのめされ        
血を流そうと決して頭は垂れまい   

激しい怒りと涙の彼方には     
恐ろしい死だけが迫る       
だが長きにわたる脅しを受けてなお 
私は何ひとつ恐れはしない     

門がいかに狭かろうと       
いかなる罰に苦しめられようと   
私は我が運命の支配者       
我が魂の指揮官なのだ       






2011.01.30 サイトに掲載

2011.07.04 再掲載



戻る