「エンジェル ウォーズ」


神作品を連発してきたザック・スナイダー監督の
原作なしオリジナル映画にして、
殿の御乱心とか、大暴投とか、
まあそんな扱いをされつつある作品ですが、私は嫌いじゃない。
批評家からはゲームだゲームだと散々叩かれたらしい。監督かわいそう。
(ただしDVDで見たら本当にゲームに見えちゃうだろうから
劇場鑑賞をおすすめします)

3層構造になっていて
1層目は精神病院に軟禁されている若い女性たち。
2層目は娼館に囚われて身を売る踊り子たち。
3層目は彼女達が脱出するために行う
ミッションを表現するSF的な戦闘世界。
3つの世界は基本的に登場人物と人間関係が同じで、
象徴というか空想というか劇中劇というか、まあそんな感じです。
3層目が
ゴスビッチSFファッションの金髪お姉さん達が
日本刀やマシンガンや手榴弾やモビルスーツで
サイボーグとかゾンビとか巨大鎧武者と戦ったりするので
ゲームゲーム叩かれてるのでしょうけど、
でもそれはインセプションを「まるで007だ」
と叩くのと同じくらい見当外れだ、と思う。

むかしのアメリカっぽい内装やファッションを
陰鬱な色彩で撮らせたら、やっぱり監督の右に出る者はいないな。
部屋の隅に光が届いてないあの感じ。赤と錆色。

すごくオチばれ・ねたばれ

本人も、その他の登場人物も観客も、
彼女が主人公であると認識していたが、実は違った。
というのが物凄く斬新なオチでした。
自分は主人公ではなくて、彼女を守る守護天使の役だった!
って悟ったときのベイビーの顔が清々しかった。

2人とも妹を亡くしているし、
お芝居の中でロボトミー手術を受ける役だったのはスイトピーだし、
途中まで鏡を使った演出が多かったので、
2階層での中身が逆だったりするのかしらとも思ったのですが
監督はそゆの嫌いそうなので、やっぱり見たままなんだろう。

作中で、その女の子が踊ると誰もが夢中になってしまう、
誰も見たことのないような凄い踊りというシーンがあるのですが、
見学していた大の男が涙を流したりして、かなり気になるのに
とうとう最後までそのダンスは画面に映らなかったです。
見てェー!

スナイダー監督のインセプション風プリキュアといえなくもない。
監督のこれまでの高評価作品は
荒唐無稽なネタを重厚に撮ったものだったけど、
今回のは重厚なネタを荒唐無稽に撮ったものなので、
実はホームじゃなくてアウェーだった気がする。




2011.04.28 サイトに掲載

2011.07.04 再掲載



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